「売上はあるのに利益が出ない…」その値下げ、本当に大丈夫ですか?
製品売上低迷で即「値下げ」に踏み切るリスクとは? 売上が伸びない、競合に勝てない、商談で「価格が高い」と言われる……。こうし た壁にぶつかったとき、多くの企業が真っ先に検討するのが「値下げ」です。 確かに値下げには即効性があり、一時的に売れ行きが良くなるケースは少なくあ りません。しかし、安易な価格改定は会社の経営を揺るがす大きなリスクを孕んでい ます。 値下げを検討する前に、必ず確認すべき最優先事項があります。それは、現在の 「原価」と「正確な利益」の把握です。実は、多くの企業がこの重要なプロセスを見 落としたまま、価格を下げてしまっています。 事例でわかる:原価と利益を誤認した値下げの恐怖 例えば、100万円で販売しているサービスがあるとします。社内では「利益は20万 円くらい出ているだろう」と想定し、競合に対抗するため10万円の値下げ(販売価格 90万円)を計画しました。 しかし、実際のコストを細かく洗い出してみると、以下のような見えない経費が 膨らんでいることがよくあります。 営業にかかった工数(人件費) 受注後のサポート工数 外注費やシステム利用料 バックオフィスでの管理コスト これらすべてを含めたところ、実際の利益は5万円しかなかったというケースで す。この状態で10万円の値下げに踏み切れば、売れ行きは伸びたとしても、売れば売 るほど1件あたり5万円の赤字が垂れ流されることになります。 「売上は過去最高なのに、なぜか利益が出ない」と頭を抱える企業の多くは、こ のように正確な利益構造を把握しないまま、価格競争の渦に巻き込まれているので す。 価格改定の前に実践すべき「5つのステップ」 一度下げてしまった価格を、後から元に戻すのは非常に困難です。値下げはあく まで最終手段であり、判断は慎重に行わなければなりません。本来、経営陣が踏むべ き正しい手順は以下の通りです。 原価の正確な把握: 見えないコストも含めて総コストを算 出する 利益の算出: 現在の価格でいくら儲かっているかを明確に する 顧客ごとの採算チェック: 手間やコストが見合っているか を分析する 商品・サービスごとの採算チェック: どのメニューが利益 の足かせになっているかを特定する 値下げの検討: 上記を踏まえた上で、本当に必要であれば 実施する 「本当に価格が原因か?」売れない真の理由を突き止める 売上が伸びない原因をすべて「価格の高さ」に求めてしまうのは早計です。実際 には、価格そのものではなく、以下のような別の要因が潜んでいることが多々ありま す。 商品の強みや価値が顧客にうまく伝わっていない(提案方法の問題) アプローチしているターゲット層が間違っている(市場選定のミスマッチ ) こうした根本的な原因を放置したまま価格だけを下げてしまうのは、非常に機会 損失が大きく、もったいない選択です。 まとめ:値下げではなく「利益構造の理解」が先決 自社商品やサービスの正確な原価、顧客対応にかかる総コスト、そして値下げ後 に残る利益。これらをデータとして即座に提示できない状態であれば、今行うべきは 値下げではなく「原価分析」です。 この順番を誤ると、利益を削りながら売上という数字だけを追いかける、不毛な 消耗戦から抜け出せなくなります。 事業の持続的な成長に必要なのは、安易な値下げではありません。まずは自社の 利益構造を正しく理解し、データに基づいた経営判断を行うことから始めましょう。 続きを読む