「KPI(重要業績評価指標)を設定して、数値管理を強化しましょう」
経営コンサルタントなどから、このような提案を受けたことはありません か?
確かに、ビジネスにおいて数値を管理し、KPIを設定することは非常に重要です。 しかし、実は多くの企業が設定する順番を間違えて失敗している のが現状です。
KPIを決める前に、必ず明確にしなければならない最優先事項があります。それ は、「あなたの会社はどこに向かうのか」という具体的な戦略で す。
なぜ戦略のないKPIは失敗するのか?売上拡大を例に解説
例えば、「売上を大幅に伸ばしたい」と考えている企業があるとします。
コンサルタントから提案され、以下のような数値をKPIとして管理することになり ました。
- 新規顧客数
- 商談数
- 提案数
- 受注率
一見すると、売上を伸ばすための正しいアプローチに見えるかもしれません。し かし、もしその会社の戦略が「高付加価値顧客に集中する(量より質)」 だったとしたらどうでしょうか。
この場合、むやみに商談数を増やすことは正解とは言えません。むしろ、以下の ような数字の方が重要になるはずです。
- 顧客単価
- リピート率
- 既存顧客からの紹介件数
逆に、戦略が「市場シェアの急速な拡大」であれば、提案通りに商談数や新規顧 客数が最重要KPIになります。
つまり、「売上を伸ばす」という同じ目標であっても、選択する戦略に よって追うべき数字(KPI)は180度変わるのです。
KPI先行が生む悲劇「数字は達成したのに利益が出ない」
現実には、明確な戦略を決めないまま、「飲食店なら一般的にはこのような指標が重要」というアドバイスを聞いて、そのままKPIとして設定してしまう会社が少なくあり ません。戦略を無視して数字だけを追いかけると、組織はどうなるのでしょうか。
真面目な現場の社員ほど、与えられた数字を必死に追います。
「今月の商談件数は目標を達成しました!」
「訪問件数も過去最高です!」
しかし、それらの数字が会社の未来(利益)につながっているかどうかは誰も分 かりません。結果として、「現場は忙しく動き回り、KPIの数字は達成して いるのに、なぜか会社の利益が増えない」という最悪の状態に陥ってしま うのです。なぜなら、KPIはあくまで「目的」を達成するための「手段」に過ぎない からです。
正しい経営のステップ:KPIは最後に決まる
ビジネスを成功に導くためには、以下の順番で物事を決めていく必要がありま す。KPIは常に最後です。
- 理念を決める
- ビジョンを決める
- 戦略を決める
- 成功要因(CSF)を整理する
- KPIを決める
戦略が決まっていない状態でKPIを作るのは、「目的地を決めずにカーナ ビを設定する」ようなものです。どれだけ高性能な車を正確に運転したと しても、目指す場所が決まっていなければどこにも辿り着けません。
まとめ:コンサルタントの言葉に騙されないために
もし社内でKPIの議論になったら、ぜひ一度このように問いかけてみてください。
「その数字を達成すると、我が社はどのように良くなるのですか?」
もしこの質問に明確に答えられないのであれば、今考えるべきはKPIの数値ではな く「戦略」そのものです。
毎月大量の数字を集計し、細かく管理していると、それだけで経営が上手くいっ ているような安心感を覚えてしまいます。しかし、管理している数字自体が 間違っていたら、その管理は会社を間違った方向へ導く危険な行為になり ます。
まずは「戦略」を磨き上げること。KPIの構築はそのあとです。この正しい順番を 理解しておくことが、形だけの数値管理を押し付けるコンサルティング会社に騙され ないための防衛策となります。