「美しいゴミ」を量産する——投資銀行・戦略コンサルの致命的欠陥
私は投資銀行(IBD)に長年携わってきた過去があり、今は会計に精通したプログラマーとして財務系 戦略コンサルと接することが多い。その立場から、はっきり言わせてもらおう。
一般にこの業界は、「エリート」と称される。
しかし、その実態は自己満に過ぎない仕事を高尚な儀式 に見せかけるプロが驚くほど多い。
一応、仕事と書いたが仕事をした気になっているのは自分だけで周囲にはプラスを生み出していないのでマスターベーションと同義である。
彼らに共通する欠陥はシンプルだ。
「美しいアウトプット」を出すこ とと、「仕事をすること」を混同している。
無能なコンサルタント ある最大手上場企業で起きた悲劇
誰もが知る最大手ファームが、ある巨大な上場企業の管理会計システム再構築を手が けた案件がある。
コンサルチームは経営企画部と経営陣の顔色を窺い、彼らが喜びそうな「完璧 な管理指標」を設計した。
完成したのは、マクロを駆使し無数の変数が絡み合う、一 見して精緻なExcelワークシートだった。
経営陣は「これで経営の可視化ができる」 と満足げに頷いたという。
だが、思った通りには進まなかった。
現場では何が起きていたのか。
膨大な基礎データの入力を任された現場社員の負担は、一気に数倍に膨れ上がった。
日々の業務に追われる彼らに、コンサルの自己満足に付き合う余裕はない。
入力の締め切りに間に合わせるため、現場はやがて「それらしい適当な数字」を入力するよう になった。
結果として精緻なシステムには毎日、でたらめなデータが蓄積されていくことになった。
GIGO(Garbage In, Garbage Out) 教科書どおりの結末だ。
なぜ「エリート」コンサルタントがゴミを生み出すのか
原因は明白だ。
「現場の入力負担を下げる」という視点が、最初から存在しな いのだ。
問題は無能コンサルタントだけではない。
クライアント側の経営企画部にも、同じ体質の 人間が少なくない。
「正しい管理」という大義名分のもと、現場の工数コストを無視 し、自分たちが管理しやすい机上の論理を組み立てる。
現場を知らないコンサルと、現場を見ない経営企画——この組み合わせが、誰に も使われない自己満の使えないシステムを量産するのだ。
本来、外部から入るコンサルタントの役割とはいったい何か。
経営企画に対して「現場の 声と負担を起点に考えるべきだ」と主張し、現場の作業負担と経営指標の精度をバランスさせ、実際に機能する仕組みを構築することではないか。
現場が真実のデータを 入力しなければ、どれほど高度な分析モデルも落書きに過ぎない。
しかし、ダメなコンサルは、直接の依頼主である経営陣の「欲しい」をそのまま 形にすることを「顧客満足」と勘違いしている。
ダメなコンサルの三つの病理
① 手段が目的化している
フレームワーク(3C、SWOT、ファイブフォース、4P、PESTなど無数にある)に無理やり当てはめるだけで、独自の 洞察が出てこない。
スライドの配色やフォント調整に数時間を費やすが、書いてある 内容は誰でも思いつくことばかりだ。
典型的な症状
- フレームワーク依存症:既存の型に無理やり当てはめるだけで、独自の洞察 が出てこない
- スライドの美しさに命をかける:グラデーションやフォント調整に時間を費やすが、内容は凡庸(内容の薄さを外見で隠そうということ)
- カタカナ語の乱用:不必要な横文字で知性を演出した気になっている
「なるほど、 そうですね」と言えばいいところを「アグリーですね」と言い換えて悦に入っている輩は少なくない(笑)。
② 現場感覚の完全な欠如
データとロジックだけで世界が動いていると信じている。現場の力学を無視 し、理論上の「ベストプラクティス」だけを語る。
自分の綺麗なロジックが崩れない ように、目の前の不都合な事実から目を背ける。
典型的な症状
- 「机上の空論」の押し付け:現場の力学を無視し、理論上の正論だけを語る
- ファクトよりロジック優先:不都合な現実よりも、自分のロジックツリーを 守ることを優先する
- 顧客の顧客を見ていない:クライアントの顔色ばかり伺い、その先にいる現 場や市場に疎い
③ コミュニケーションの傲慢さ
クライアントが長年培ってきた経験知を「非合理的」と一蹴し、耳を貸さない。核心を突かれると「それはフェーズが違います」といってみたり、謎の専門用語で煙に巻く。
そして 実行責任は一切負わない。
「提言するのが仕事」という姿勢で、泥を被って動かす気 はハナからない。
典型的な症状
- 「教える」スタンス:クライアントの経験知を非合理と切り捨て、耳を貸さない
- 論理で逃げる:核心を突かれると複雑な前提条件を並べて対話をシャットアウトする
- 実行責任への無関心:「提言するのが仕事」と割り切り、泥を被る気が皆無
投資銀行やコンサルタント業界には返答に困ったら、小難しい専門用語で相手を煙に巻いてしまう輩が少なくない。
言われた方も「分かってない」と思われたくないのだろう。
「なるほど、そうですね」などと相槌を打ってしまうのだから面白い。
そんな時は私は冷めた様子で、腹の中でどっちもバーカと嘲笑うのだ。
「王様のロバの耳」
投資銀行や戦略コンサルが跋扈する場面では実話がゴロゴロしている。
実現可能性ゼロの「絵に描いた餅」戦略コンサルの報酬は4000万円
かつて投資銀行にいたころ、こんな話を聞いた。
ある大手下着メーカーが、世界最大手とされる戦略コンサルにM&A戦略をまとめてもらった。
「○○社を買収すればこんな展開が描ける」
「△△社を買収すれば世界 展開が加速する」
そんな内容の提言書だ。
メーカーが「では先方と交渉を進めてほしい」と 依頼すると、コンサルは「それは当社の役割ではない」と一蹴した。
メーカーから依頼を受け、その後を引き継いだのが私だった。
結論を言えば、○○社も△△社も、M&Aに応じる 気は皆無だった。
つまり、全くの机上論だったということだ。
驚くなかれ、この提言書の代金はなんと
4000万円。
実現性ゼロの妄想に、4000万円が消えたのだ。
おわりに
美しい資料と鋭い提言は、別物だ。
現場の感覚を持たない「知性」は、何も生まないどころか、組織に静かな害を与え続ける。
真に実効性ある支援が必要なら経営の右腕サービスを頼って頂きたい。